競合を調べて表にまとめたものの、A社の欄は埋まっているがB社は空欄、料金の単位もばらばら。数か月後に見返したら、この数字をどこで確認したのか分からない。
比較表がうまく機能しないときは、見た目ではなく作り方に原因があります。
この記事では、調査結果を比較できる形に整理する方法を説明します。表のデザインではなく、何を、どの情報源で、いつ確認したかを後から追える形にすることが目的です。
競合比較表とは
この記事でいう競合比較表は、複数の企業やサービスについて、同じ項目を横並びで確認できるように整理した表のことです。
使う場面はさまざまです。
- 競合サービスの比較
- 新規サービスの検討
- 営業資料を作る前の情報整理
- 市場参入の検討
- 取引先候補の比較
比較表は判断材料を整理するための道具です。表を作れば結論が出るわけではありません。表を見たうえで何を判断するかは、別の作業になります。
比較表を作る前に「何を判断するための調査か」を決める
目的によって、必要な項目は変わります。
| 判断したいこと | 必要になる項目の例 |
|---|---|
| 価格を比較したい | 基本料金、初期費用、契約期間、課金単位、オプション、税込/税別 |
| サービス内容を比較したい | 対象顧客、主要機能、対応範囲、提供形態、サポート内容 |
| 企業そのものを比較したい | 事業内容、所在地、設立、公開されている企業情報、事業領域 |
| 自社サイトの改善に使いたい | 訴求内容、料金の見せ方、コンテンツ構成、問い合わせ導線 |
目的と関係のない項目を増やさないでください。項目が増えるほど、すべての対象について埋める作業が増えます。使わない情報を集めても、比較表は重くなるだけです。
調査の目的をどう決めるかは競合調査の進め方で扱っています。
比較対象を先に決める
調査を進めながら対象企業を次々に増やすと、調査範囲が広がり続けます。先に決めてください。
決めるときの観点です。
- 同じ商品・サービスを提供している企業
- 同じ顧客の課題を別の方法で解決しているサービス
- 検討候補として実際に名前が挙がっている企業
- 比較記事などで同じ選択肢として並べられている企業
「有名な企業だから入れる」ではなく、「この企業を調べた結果は判断に使うか」で決めてください。使わない企業を調べても、表が長くなるだけです。
比較項目を先に揃える
ここが比較表の成否を分けます。
対象ごとに違う項目を調べると、後から並べられません。
項目が揃っていない例
A社:料金、機能、導入事例
B社:会社概要、料金、SNS
C社:機能、ニュース
この状態では、共通して比較できるのは「料金」だけです。それも、A社とB社の2社分しかありません。
先に項目を決めてから、すべての対象について同じ項目を調べてください。
- サービス名
- 対象顧客
- 料金
- 初期費用
- 契約期間
- 主要機能
- 導入事例
- 運営企業
- 確認日
調査の途中で項目を追加する場合は、先に調べた対象についても同じ項目を確認します。確認できない項目がある場合は、その状態も記録しておくと、どこまで比較できるかが分かります。
どの項目をどこで確認できるかは競合調査で確認する項目で整理しています。
1つのセルに「事実」と「評価」を混ぜない
比較表でよく起きるのが、事実と評価が同じセルに入ってしまうことです。
説明用の例(数値は架空のものです)
月額1万円で安い
この記述には2つの要素が混ざっています。
事実:月額1万円
評価:安い
月額10,000円(税別・年間契約時)
比較表にはまず事実を記録します。「安い」という評価は、何と比べて安いのか、どの基準で判断したのかによって変わります。
同様に、次のような表現も根拠なしに事実欄へ入れないでください。
- 機能が豊富
- サポートが充実
- 使いやすい
- 実績が多い
評価を加えたい場合は、「分析」「所見」など別の列を作るか、比較表とは別に分析欄を設けてください。評価基準を明示しておくと、後から見た人も判断の根拠が分かります。
出典URLを残す
比較表の各情報について、どこで確認したかを記録します。
- 料金 → 公式料金ページ
- 会社概要 → 公式サイトの会社概要ページ
- 市場データ → 元の統計資料
- ニュース → 公式発表または報道記事
出典を残しておくと、後から「この数字はどこから取ったのか」と聞かれたときに答えられます。情報を更新するときも、以前どのページで確認した情報なのかをたどりやすくなります。
セルごとにURLを入れると表が読みにくくなる場合は、出典用の列を作る、注記としてまとめる、別シートで管理するなど、運用しやすい方法で構いません。
ただし、URLがあることと、その内容が正しいことは別です。記録したURLのページに、実際にその内容が書かれているかは確認してください。
情報源の確認については元の情報源を確認する方法で詳しく扱っています。
確認日を残す
料金、サービス内容、企業情報は変わります。「いつ確認した情報か」を記録しておくと、その情報を今どう扱うべきか判断できます。
公表日と確認日は別のものです。
公表日は、情報源側がその情報を公開した日。確認日は、自分がそのページを見た日です。両方を残しておくと、「いつ公表された情報を、いつ確認したか」が分かります。
記入例としては「2026-09-17」のような形式です。表記を統一しておくと、後から並べ替えや絞り込みができます。
価格は条件も一緒に記録する
価格は、数字だけでは比較できません。
説明用の例(数値は架空のものです)
9,800円
月額9,800円(税別・年間契約時・5名まで・初期費用別途)
同じ「9,800円」でも、条件が違えば別の金額です。条件を落とすと、他社の数字と並べたときに誤った比較になります。
記録したい条件は次のあたりです。
- 月額か年額か
- 税込か税別か
- 初期費用の有無
- 最低契約期間
- 利用人数や利用量の上限
- プラン名
- 従量課金がある場合はその条件
価格調査の詳細は競合サービスの価格を調べる方法で扱っています。
「確認できなかった」を空欄にしない
調べたが分からなかった項目を空欄のままにすると、後から見た人には次のどれか判断できません。
- まだ調べていない
- その対象には該当しない
- 企業が公開していない
- 探したが確認できなかった
状態を書き分けてください。
| 記入する状態 | 使う場面 |
|---|---|
| 非公開 | 「お問い合わせください」など、公開していないことが確認できる場合 |
| 公式サイトでは確認できず | 公式サイトを見たが、該当する記載が見つからなかった場合 |
| 公開情報では確認できず | 公式以外も含めて探したが、確認できなかった場合 |
| 該当なし | その対象には、その項目が当てはまらないことを確認できた場合 |
| 未調査 | まだ調べていない場合 |
「非公開」と「確認できず」は使い分けてください。「非公開」は、公開していないことが確認できた場合に使います。単に見つからなかっただけなら「確認できず」です。
見つからないときの探し方は検索しても情報が見つからないときの探し方で整理しています。
比較表の基本テンプレート
まず、判断に使うための比較表です。
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| サービス名 | — | — | — |
| 対象顧客 | — | — | — |
| 料金 | — | — | — |
| 契約条件 | — | — | — |
| 主な機能 | — | — | — |
| 導入事例 | — | — | — |
| 確認日 | — | — | — |
| 備考 | — | — | — |
ただし、この形式だけでは出典の管理が弱くなります。「備考」欄にすべてを書き込むと読みにくくなり、URLを入れると表が崩れます。
そこで、調査の過程を残すための詳細な記録表を別に用意します。
| 対象 | 調査項目 | 確認した内容 | 条件・対象範囲 | 情報源 | URL | 公表日 | 確認日 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A社 | 料金 | — | — | — | — | — | — | — |
| A社 | 対象顧客 | — | — | — | — | — | — | — |
| B社 | 料金 | — | — | — | — | — | — | — |
こちらは対象と項目の組み合わせごとに1行を使います。行数は増えますが、出典や条件を書き込む余地があります。
共有用の表と調査用の記録を分ける
この2種類を分けておくと、どちらの目的にも対応できます。
| 調査用の記録 | 共有用の比較表 | |
|---|---|---|
| 目的 | 調査過程を残す | 判断材料を見やすくする |
| 含める内容 | URL、確認日、条件、公表日、未確認事項、注記 | 判断に必要な項目のみ |
| 読む人 | 調査した本人、後で追加調査する人 | 判断する人、共有先 |
共有用だけを作ると、後から出典が分からなくなります。調査用だけをそのまま共有すると、情報量が多くて比較しにくくなります。
必ず2つのファイルに分ける必要はありません。同じスプレッドシート内で別シートにする、共有用の表に詳細シートへのリンクを付けるなど、運用しやすい方法で構いません。
情報の粒度を揃える
同じ項目でも、記録の細かさがばらばらだと比較できません。
粒度が揃っていない例
A社:電話・メール・チャット対応
B社:サポートあり
B社も同じ3種類に対応しているかもしれませんし、メールのみかもしれません。この状態では比較できません。B社についても、どのサポート手段が公開されているかを確認してください。
単位や条件についても同じです。A社は税込価格、B社は税別価格のまま横に並べると、数字だけを見た人が誤解します。
対応方法は2つあります。
- 条件を揃えて記載する(どちらも税別に統一するなど)
- 違いが分かるように注記する(「A社:税込」「B社:税別」と併記)
ただし、無理に同じ表現へ変換して意味を変えないでください。年額のみのサービスを12で割って「月額」として並べると、実際の支払い方法とは違う情報になります。
情報が食い違う場合は一方を勝手に採用しない
調べていると、情報が食い違うことがあります。
- 公式ページと過去のPDF資料で料金が違う
- 複数の資料で企業情報が違う
- 記事と元資料で数値が違う
この場合、まず次を確認してください。
- それぞれの公開日・更新日
- 対象期間
- 対象プラン
- 対象地域
- 情報源の種類
現在の情報を調べているのであれば、現在の公式情報を確認するのが基本です。ただし、古い資料を単純に「誤り」として扱わないでください。「2024年時点の価格」「旧プランの料金」など、時点や条件が違うだけの可能性があります。
説明がつかない場合は、両方を記録して「資料によって記載が異なる」と残してください。片方を選んだ場合は、なぜそれを採用したかも書いておくと、後から見直せます。
比較表から読み取ったことは「事実」と分けて書く
比較表ができると、そこから何かが見えてきます。
- A社は他社より低い価格帯に見える
- B社は大規模利用向けの機能が多い
- 各社で料金体系の考え方が違う
これらは調査で確認した事実ではなく、比較表を見て読み取った分析です。
次のような表現は、事実欄にそのまま入れないでください。
- 強い/弱い
- 優れている/劣っている
- 市場で評価されている
- シェアが高い
分析として書く場合は、何を根拠にそう言えるのか、どの基準で判断したのかが分かる形にしてください。たとえば、同じ利用条件で比較できる公開料金について「今回確認した3社ではA社の料金が最も低い」と書けば、比較した範囲と条件を示しやすくなります。
口コミやレビューの内容を「市場での評価」として扱わないでください。個々の投稿は、その人が特定の時期に特定の条件で利用した経験です。数件の投稿から全体の評価を導くことはできません。
比較表を更新するときは確認日も更新する
比較表は作って終わりではありません。料金、機能、企業情報は変わります。
更新するときは、次を記録してください。
- 変更されていた項目
- 再確認した情報源
- 新しい確認日
内容だけ書き換えて確認日をそのままにすると、いつ時点の情報か分からなくなります。変更がなかった項目も、再確認したのであれば確認日を更新してください。
更新の頻度は、その比較表を何に使うかによって変わります。継続的に参照する資料なら定期的な確認が必要ですし、一度の判断のために作った表なら更新しないこともあります。用途に応じて決めてください。
競合調査の整理に時間をかけられない場合
比較表を作る作業は、情報を集めるところだけでは終わりません。項目を揃え、複数の対象を同じ軸で確認し、出典と確認日を記録し、条件を整理し、確認できなかった項目を区別する。対象と項目が増えるほど、この作業も増えていきます。
optimal plan SEARCHでは、Web上の公開情報を対象とした検索・リサーチを代行しています。調査結果は情報源を明示した形でお渡しします。確認できなかった情報は「確認できなかった」とお伝えします。
「何を比較項目にすればよいか整理したい」という段階でもご相談いただけます。