競合調査を始めようとしても、「結局、何を調べればいいのか」で止まってしまうことがあります。
ただし、調査項目を大量に集めればよいわけではありません。何を判断するための調査なのかを決め、その判断に必要な情報を集めることが重要です。
この記事では、Web上の公開情報を使った競合調査を前提として、代表的な調査項目と情報源、そして情報を確認するときのポイントを説明します。
競合調査は「何のために調べるか」から始める
同じ「競合調査」でも、目的が違えば必要な情報は変わります。
新サービスの価格を決めたい場合
競合の価格、料金体系、プラン構成、各プランに含まれる機能が中心になります。価格だけを並べても、含まれる機能が違えば比較になりません。
新規事業を検討したい場合
どの企業がどのようなサービスを提供しているか、対象顧客は誰か、どの領域に事業を広げているかを見ます。価格の細部よりも、市場にどんなプレイヤーがいるかの把握が優先されます。
自社サイトを改善したい場合
競合サイトがどう訴求しているか、料金をどう表示しているか、どんなコンテンツを置いているか、問い合わせまでの導線がどうなっているかを見ます。
目的が決まれば、調べるべき項目は自然に絞られます。逆に目的が曖昧なまま情報を集めると、量は増えても判断には使えません。
Webで調べられる主な競合調査項目
Web上の公開情報から確認できる代表的な項目を整理します。
| 調査項目 | 調べる内容 | 主な情報源 |
|---|---|---|
| 企業情報 | 会社概要、設立、事業内容、事業領域 | 企業公式サイト、IR、公的な法人情報 |
| 商品・サービス | 提供内容、機能、特徴、対象顧客、プラン | 公式商品ページ、公式サービスページ |
| 価格・料金体系 | 価格、初期費用、月額料金、プラン、オプション | 公式料金ページ、公式料金表 |
| Webサイトの訴求 | 対象顧客、訴求している課題、強調している特徴、CTA | 競合の公式サイト |
| ニュース・リリース | 新商品、新サービス、提携、アップデート、事業展開 | 企業公式ニュース、公式プレスリリース |
| SNS | 発信テーマ、更新状況、キャンペーン、新商品告知 | 企業公式SNSアカウント |
| 採用情報 | 募集職種、採用を強化している分野、公開されている組織情報 | 企業採用ページ、求人媒体 |
| 第三者情報 | 業界記事、比較記事、レビュー、口コミ | 専門メディア、比較サイト、レビューサイト |
1. 企業情報
会社概要、設立年、事業内容、事業領域などです。企業公式サイトの会社概要ページが基本になります。上場企業であればIR資料からより詳しい事業構成が確認できます。法人としての基本情報は、公的な法人情報からも確認できます。
2. 商品・サービス
提供内容、機能、特徴、対象顧客、プラン構成などです。公式の商品ページ・サービスページを確認します。第三者の紹介記事は概要をつかむには便利ですが、仕様が古いまま残っていることがあります。
3. 価格・料金体系
価格、初期費用、月額料金、プラン、オプションなどです。公式の料金ページを確認します。
価格は変更されます。調査結果には確認日を残しておくと、後から情報の鮮度を判断しやすくなります。
料金ページの探し方や、比較するときに確認したい条件は競合サービスの価格を調べる方法で詳しく扱っています。
4. Webサイト上の訴求
誰を対象としているか、どの課題を訴求しているか、どの特徴を強調しているか、CTAや問い合わせ導線はどうなっているか。競合が自社をどのように位置づけて訴求しているかを確認できます。
注意したいのは、Webサイトに書いてあることは企業側の主張であり、客観的に検証された事実とは限らない点です。「業界No.1」「導入社数No.1」といった表現も、何を基準にした順位なのかは書かれていないことがあります。「そう書いてある」と「事実である」を混同しないでください。
5. ニュース・プレスリリース
新商品、新サービス、提携、アップデート、事業展開などです。企業公式のニュースページやプレスリリースを確認します。時系列で確認すると、公開情報上での事業展開や発信の変化を追うことができます。
6. SNS
発信テーマ、更新の頻度、キャンペーン、新商品の告知などです。公式アカウントの発信内容からは、どの層に向けて何を伝えようとしているかが分かります。
ただし、フォロワー数だけで企業やサービスの優劣を判断しないでください。SNSに力を入れていない企業が事業として不調とは限りません。
7. 採用情報
募集職種、採用を強化している分野、公開されている組織情報などです。採用ページや求人媒体から確認できます。
採用情報は解釈に注意が必要です。「求人が出ているから、この事業に注力している」と断定はできません。欠員の補充かもしれませんし、掲載したまま更新していない可能性もあります。企業内部の事情は公開情報からは確認できません。確認できたのは「この職種の求人が公開されている」という事実だけです。
8. 第三者情報
業界記事、比較記事、レビュー、口コミなどです。一次情報では見えない評判や、複数社を横断した視点が得られることがあります。
確認すべきは、その記事がいつ公開されたか、誰が書いたか、何を根拠にしているかです。特に比較記事は、公開後に各社の価格や仕様が変わっていても更新されないことが珍しくありません。
情報源ごとに、何を確認するのに向いているか
調査で集めた情報を、すべて同じ性質の情報として扱わないでください。情報源にはそれぞれ向き・不向きがあります。
| 情報源 | 何を確認するのに向いているか |
|---|---|
| 公式・一次情報 | 価格・仕様・提供内容など、企業が現在公表している内容を確認する原典として優先します |
| 公的情報 | 法人情報、統計、許認可など、公的に公開された事実の確認に利用します |
| 報道・専門メディア | 第三者による取材・分析を知るのに向いています。ただし公開日や根拠を確認します |
| 比較サイト・まとめ記事 | 複数社を把握する入口として利用し、重要事項は原典まで戻って確認します |
| 口コミ・レビュー | 利用者の評価・経験を知る参考情報です。客観的事実とは分けて扱います |
| SNS上の個人投稿 | 個人の経験・意見として扱い、事実確認が必要な内容は一次情報等で確認します |
公式情報が原典であることと、その内容がすべて客観的事実であることは別です。企業自身による評価、広告表現、No.1表記、将来計画などは、企業側の主張として扱ってください。
情報を記録するときは、次の3点を残しておくと後から検証できます。
- 誰が発信した情報なのか
- いつ公開・確認された情報なのか
- 元となる情報は何なのか
検索上位だけを見て調査を終わらせない
検索結果の上位に表示されていること自体は、その情報が一次情報であることや、最新・正確であることを保証するものではありません。検索結果から情報を見つけたら、必要に応じて公式サイトや公的情報など、元となる情報まで確認します。
また、最初に出てきた数ページだけを見て終わりにせず、目的に応じて検索語を変えてみてください。
- 企業名 + 料金
- 企業名 + サービス名
- 企業名 + ニュース
- 企業名 + IR
- サービス名 + 料金
調べたい内容が具体的になるほど、検索語も具体的にする必要があります。「競合 A社」で調べても、料金ページにはたどり着きません。
「見つからない」も調査結果の一つ
Web上の公開情報から確認できないことは、実際にあります。価格を公開していない企業、事業の詳細を出していない企業、SNSを運用していない企業。いずれも珍しくありません。
このとき、推測で埋めないでください。
似たサービスの価格から「おそらく同程度」と書いたり、他社の事例から「こうしているはず」と結論を作ったりすると、その一行が調査結果全体の信頼性を落とします。後からその推測だけが独り歩きすることもあります。
「公開情報では確認できなかった」と明示することも、調査品質の一部です。何が分かって何が分からなかったかがはっきりしていれば、次に何をすべきかも判断できます。
調査結果は比較できる形に整理する
企業ごとに自由形式でメモを取っていくと、後から比較できません。A社は価格を調べたがB社は調べていない、という状態になりがちです。
最初に調査項目を決めて、すべての企業について同じ項目を埋める形にしてください。
比較項目の揃え方や、確認できなかった情報の書き方は競合比較表の作り方で解説しています。
| 企業名 | 商品・サービス | 対象顧客 | 料金 | 特徴 | 情報源URL | 確認日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A社 | — | — | — | — | — | — |
| B社 | — | — | — | — | — | — |
情報源URLを残す理由
後から「この数字はどこから取ったのか」と聞かれたときに答えられます。時間が経ってから情報を更新する際も、同じページを再度確認するだけで済みます。社内で共有する場合、URLがあれば各自が原典を確認できます。
確認日を残す理由
価格も、サービス内容も、企業の方針も変わります。「いつ時点の情報か」が分かっていれば、その情報を今どう扱うべきか判断できます。日付のない情報は、いつまで有効なのか誰にも分かりません。
調査対象の決め方から比較・整理までの流れは競合調査のやり方|公開情報から調べる手順でまとめています。
自分で調べる時間がない場合
ここまで説明した調査は、ひとつひとつは難しいものではありません。ただ、対象企業や調査項目が増えるほど、情報を探し、確認し、比較できる形に整理するための時間も増えます。
optimal plan SEARCHでは、市場・競合リサーチとして、業界動向、競合サービス、価格、特徴など、事業判断に必要な公開情報を収集・整理しています。調査結果は情報源を明示した形でお渡しします。確認できなかった情報は「確認できなかった」とお伝えします。
「どの競合を調べるか決まっていない」「何を調べればいいか整理したい」という段階でもご相談いただけます。