「競合を調べておいて」と言われて、とりあえず企業名で検索を始める。よくある進め方ですが、これだと集めた情報を後で比較できません。A社は料金を調べたがB社は調べていない、という状態になりがちです。

競合調査は、検索を始める前の準備で結果が変わります。

この記事では、Web上で確認できる公開情報を使った競合調査の手順を、実際に進める順番に沿って説明します。フレームワークの解説ではなく、何をどの順で確認するかに絞ります。

競合調査を始める前に「何を判断したいか」を決める

競合について情報をたくさん集めること自体は目的ではありません。最初に決めるのは「この調査結果を使って何を判断するのか」です。

目的が決まると、比較すべき相手と調査項目を絞りやすくなります。

判断したいこと調査対象主な調査項目
自社サービスの価格を検討したい同じ価格帯・同じ提供形態の企業価格、料金体系、プラン構成、含まれる機能
新しいサービスの提供条件を考えたい同じ顧客層に提供している企業提供条件、契約期間、対象地域、サポート範囲
候補企業の違いを比較したい検討リストに挙がっている企業機能、価格、サポート、導入実績の公開範囲
競合各社の訴求内容を確認したい検索結果で並ぶ企業Webサイトの見出し、強調点、想定読者
市場参入前に主要プレイヤーを把握したいその領域で名前が挙がる企業全般事業内容、提供サービス、対象顧客、事業規模の公開情報

目的を一文で書けないうちは、まだ調べ始めないほうが早く終わります。「競合を調べる」ではなく「価格改定の判断材料として、同価格帯5社の料金体系を比較する」まで具体化してください。

手順1 調査する競合を決める

企業名を大量に集めることから始めないでください。目的に合う比較対象だけを選びます。

競合候補の探し方には次のようなものがあります。

  • 同じ商品・サービスを提供している企業
  • 同じ顧客の課題を別の方法で解決しているサービス
  • 自社サービス名と一緒に検索されている企業
  • 比較記事やまとめ記事で同じ選択肢として並べられている企業
  • 業界団体の会員一覧に掲載されている企業

同じ商品を売っている企業だけが競合とは限りません。顧客が「これで解決できるなら」と選ぶ別の手段も、判断の材料になります。表計算ソフトで管理している顧客にとっては、専用ツールの競合は他社ツールではなく表計算ソフトです。

ただし、広げすぎると調査が終わりません。目的に照らして「この会社を調べた結果は判断に使うか」で絞ってください。

手順2 調査項目を先に揃える

調べる企業が決まったら、次は調査項目を決めます。企業ごとに行き当たりばったりで調べると、後から比較できません。

基本的な項目は次のあたりです。

  • 商品・サービス内容
  • 価格・料金体系
  • 提供条件
  • 対象顧客
  • 特徴・訴求
  • 導入事例
  • 会社情報
  • ニュース・発表

どの項目をどの情報源で確認できるかは、「競合調査で何を調べる?Webで確認できる調査項目と情報源」で詳しく整理しています。項目選びで迷う場合はそちらを参考にしてください。

調査の途中で項目を追加する場合は、先に調べた企業についても同じ項目を確認します。企業ごとの調査項目を揃えておくと、後で比較しやすくなります。

手順3 公式情報から確認する

調査は各社の公式情報から始めます。企業自身が公開している内容が、仕様や価格を確認する原典になります。

確認先確認できる内容
公式サイト事業内容、提供地域、企業としての位置づけ
商品・サービスページ機能、仕様、対象者、提供形態
料金ページ価格、プラン、初期費用、オプション
会社概要設立、所在地、資本金、代表者
IR・決算資料上場企業の事業構成、業績、事業方針
公式プレスリリース新商品、提携、事業展開の発表内容
公式SNS発信テーマ、更新状況、告知内容
採用情報公開されている募集職種、組織構成

公式サイトが原典であることと、書かれている内容がすべて客観的事実であることは別です。「業界最安」「導入社数No.1」といった表現は、何を基準にした主張なのか書かれていないことがあります。企業自身による評価と、第三者や公的機関から確認できる事実は、記録するときに区別してください。

料金ページが見つからない企業もあります。「お問い合わせください」のみの場合、価格は「非公開」と記録します。推測で相場を書かないでください。

手順4 公的情報・第三者情報で補う

公式情報だけでは分からないことがあります。必要に応じて他の情報源を確認します。

情報源確認に向いている内容
官公庁・自治体許認可、届出、公的な制度上の位置づけ
公的データベース法人番号、登記情報などの基本情報
業界団体会員企業一覧、業界の自主基準
報道機関第三者による取材内容。報道時点の情報であることを確認
専門メディア業界内での位置づけや解説。執筆者と公開日を確認
比較サイト選択肢の把握。料金や仕様は公式サイトで再確認
レビュー・SNS利用者個人の評価・経験。市場全体の評価とは区別

口コミやレビューを扱うときは注意してください。個々の投稿は、その人が特定の時期に特定の条件で利用した経験です。数件の投稿を「市場での評価」として扱うと、調査結果全体が偏ります。参考情報として、評価そのものではなく「どういう点が話題になっているか」を見るほうが実用的です。

情報源ごとの役割や、Web上の公開情報を調べるときの基本的な考え方は「Webリサーチとは?公開情報を調べる方法と情報源」でまとめています。

手順5 情報の日付と条件を確認する

ここが競合調査で最も見落とされやすい部分です。

価格、サービス内容、提供条件、キャンペーン、企業情報はいずれも変わります。数字や条件だけを抜き出して表に入れると、時点の違う情報が並んでしまいます。

記録するときに確認したいのは次の点です。

  • 公開日・更新日
  • 自分が確認した日
  • 対象地域(全国か一部か)
  • 対象プラン(どのプランの価格か)
  • 税込か税別か
  • 期間限定の条件が付いていないか
  • 法人向けか個人向けか

たとえば「月額10,000円」と書かれていても、それが税別の年間契約価格で、法人向けプランの初年度限定価格ということがあります。この条件を落として表に入れると、他社の税込・月払い価格と並べられてしまいます。

数値だけでなく、いつ・誰に・どんな条件で適用される情報かまで記録してください。

手順6 見つからない情報を推測で埋めない

公開情報を探しても確認できない項目はあります。価格を公開していない企業、顧客数を出していない企業、契約条件を個別対応にしている企業。いずれも珍しくありません。

このとき、空欄のままにせず、確認できた範囲を明示します。

  • 非公開(企業が公開していないことが分かる場合)
  • 記載なし(該当ページはあるが言及がない場合)
  • 公開情報では確認できず(探したが見つからなかった場合)

この3つは意味が違います。書き分けておくと、後から見た人が次に何をすべきか判断できます。

特に注意したいのが、競合企業の売上、顧客数、シェア、契約条件などです。これらは公開されていないことが多く、「同規模の企業がこうだから」という推定を書きたくなります。しかし根拠のない数字を推定値として表に入れると、後からその数字だけが事実として使われます。

ただし「情報がない」と「探し方が足りない」は別です。見つからないと判断する前に、次の方法も試してください。

  • 検索語を変える(略称、英語表記、業界用語)
  • 正式名称を確認してから検索し直す
  • 過去のプレスリリースを遡る
  • PDF資料を探す(料金表や規約はPDFのことがある)
  • 公的データベースを確認する
  • サイト内検索やサイトマップから辿る

手順7 同じ項目で比較できる形に整理する

調査結果を企業ごとの文章で並べると、読む側が頭の中で比較することになります。同じ項目で横に並べてください。

調査項目A社B社C社
商品・サービス———
価格———
提供条件———
対象顧客———
主な訴求———
情報源URL———
確認日———

情報源URLと確認日は、面倒でも各項目に残してください。後から「この価格はどこから取ったのか」と聞かれたときに答えられます。情報を更新する際も、同じページを開き直すだけで済みます。

表に入りきらない条件や注記は、備考欄を作って書き添えます。「この価格は年間契約時」「この機能は上位プランのみ」といった情報が抜けると、表の数字が独り歩きします。

比較表の作り方は競合比較表の作り方で詳しく扱っています。価格を中心に調べる場合は競合サービスの価格を調べる方法も参考にしてください。

競合調査でよくあるつまずき

目的を決めずに検索を始める

「この結果で何を判断するか」を先に一文で書く。書けないうちは調べ始めない。

企業ごとに違う項目を調べる

調査項目を先に決めて固定する。途中で追加したら、先に調べた企業も追加分を埋め直す。

検索結果の要約だけで判断する

元のページを開く。スニペットは前後の条件が抜けていることがある。

古い料金やサービス内容を混ぜる

各項目に確認日を残す。時点の違う情報を同じ表に並べない。

情報源を記録していない

数値や条件を書いたら、その場でURLも記録する。後から探し直すほうが時間がかかる。

確認できない情報を推測する

「公開情報では確認できず」と書く。空欄と区別できるようにしておく。

競合調査に時間をかけられない場合

手順そのものは特別なものではありません。ただ、調査対象が増え、項目が増えるほど、必要な時間は膨らみます。各社の公式ページを開き、料金体系を読み解き、条件を確認し、情報源を記録し、比較表に整える。この作業が業務時間の中で確保できないこともあります。

optimal plan SEARCHでは、Web上の公開情報を対象とした検索・リサーチを代行しています。調査結果は情報源を明示した形でお渡しします。確認できなかった情報は「確認できなかった」とお伝えします。

「どの競合を調べるか決まっていない」「何を比較すればいいか整理したい」という段階でもご相談いただけます。

ご相談だけでは料金はかかりません。
内容と料金をご確認いただいてから調査を開始します。