仕事で「ちょっと調べておいて」と言われたとき、何から手をつけるでしょうか。検索してみたものの情報がばらばらで、結局どれが正しいのか分からないまま時間だけが過ぎる。そういう経験は珍しくありません。

Web上には大量の情報がありますが、集めること自体が目的ではありません。調べた結果を判断に使える状態にするまでが調査です。

この記事では、Web上の公開情報を調べる「Webリサーチ」について、基本的な進め方と使う情報源、情報を確認するときのポイントを説明します。

Webリサーチとは

この記事で扱うWebリサーチは、Web上ですでに公開されている情報を検索・確認・比較・整理する調査のことです。企業のサイト、官公庁の発表、統計データ、報道記事など、誰でもアクセスできる情報が対象になります。

なお「Webリサーチ」「インターネットリサーチ」「Web調査」という言葉は、Web上で回答者にアンケートを行う調査を指して使われることもあります。専門の調査会社がモニターに質問して回答を集める手法です。同じ言葉でも意味が異なるため、文脈に注意してください。この記事では前者、公開されているWeb情報を調べるリサーチを扱います。

Google検索そのものとの違いは、検索が手段の一つに過ぎない点にあります。検索して出てきたページを読むだけでなく、その情報がどこから来たのかを確認し、他の情報と突き合わせ、後から使える形に整理する。この一連の流れがWebリサーチです。

Webリサーチで調べられること

Web上の公開情報から確認できる代表的な内容を整理します。

調査対象調べる内容主な情報源
企業情報事業内容、拠点、沿革、代表者、資本金企業公式サイト、IR資料、公的な法人情報
商品・サービス提供内容、機能、仕様、対象者、提供地域公式商品ページ、公式サービスページ
料金・提供条件価格、プラン、初期費用、契約条件、無料枠公式料金ページ、公式規約
市場・業界情報市場規模、業界動向、主要プレイヤー業界団体、調査会社の公開レポート、報道
制度・統計法令、補助金、許認可、公的統計官公庁サイト、自治体サイト、e-Stat等
事例導入事例、活用例、取り組み事例企業公式の事例ページ、プレスリリース
候補探し条件に合う企業・サービス・製品の洗い出し公式サイト、業界団体の会員一覧、比較サイト

用途はさまざまです。取引先候補の企業情報を確認する、システム導入のために複数サービスの料金を比較する、新しい制度が自社に適用されるか調べる、補助金の要件を確認する、といった場面があります。

競合他社を対象とした調査もWebリサーチの一つです。何を調べるかについては「競合調査で何を調べる?Webで確認できる調査項目と情報源」で詳しく扱っています。調査の進め方そのものは競合調査のやり方|公開情報から調べる手順で扱っています。

Webリサーチの基本的な進め方

調べ始める前に流れを決めておくと、途中で行き詰まりにくくなります。

1

調査の目的を決める

何を判断するための調査なのかを先に決めます。「A社について調べる」ではなく「A社と契約するか判断するために、料金と契約条件を確認する」というところまで具体化すると、調べる範囲が定まります。

2

調査項目を決める

目的が決まったら、確認すべき項目を書き出します。複数の対象を調べる場合、同じ項目で揃えておくと後で比較できます。途中で項目を増やすと、先に調べた対象を調べ直すことになります。

3

検索する

調べたい内容を具体的な検索語にします。「A社」だけでは料金ページにたどり着きません。「A社 料金」「A社 サービス名 価格」のように、目的に応じて検索語を変えます。正式名称が分からない場合は、まず名称の確認から始めます。

4

情報源を確認する

検索結果のスニペットだけで判断せず、元のページを開きます。誰が発信しているか、いつ公開・更新された情報か、どの範囲を対象とした情報かを確認します。

5

複数の情報を照合する

同じ内容について複数の情報源を見ると、食い違いが見つかることがあります。その場合は発信元と時点を確認します。古い記事が更新されないまま残っていることや、対象範囲が違うことが原因のこともあります。

6

比較・整理する

集めた情報を、調査項目を揃えた形に整理します。対象ごとにメモを取るだけでは比較できません。

7

出典URLと確認日を残す

後から根拠を示せるようにし、再確認もしやすくします。情報は変わるため、いつ時点のものかが分かる状態にしておきます。

この流れのうち、抜けやすいのが4と5です。検索して出てきた内容をそのまま書き写すと、情報源の確認と照合が飛ばされます。

Webリサーチで使う主な情報源

情報源にはそれぞれ向き・不向きがあります。すべてを同じ性質の情報として扱わないでください。

情報源何を確認するのに向いているか
企業公式サイト事業内容、商品・サービスの仕様、料金など、企業が現在公表している内容を確認する原典として使います
官公庁・自治体法令、制度、補助金、許認可など、公的に定められた内容の確認に使います
IR・決算資料上場企業の事業構成、業績、事業方針など、開示された内容の確認に使います
公式プレスリリース新商品、提携、事業展開など、企業自身が公表した発表内容の確認に使います
公的統計市場規模、人口、産業データなど、公的に集計された数値の確認に使います
業界団体業界の概況、会員企業一覧、自主基準などの確認に使います
報道機関第三者による取材内容を知るのに向いています。報道時点の情報である点を確認します
専門メディア業界の文脈や解説を知るのに向いています。執筆者と公開日を確認します
比較サイト複数の選択肢を把握する入口として使い、料金や仕様は公式サイトまで戻って確認します
口コミ・SNS利用者の評価や経験を知る参考情報です。客観的事実とは分けて扱います

公式サイトや公的機関の情報は、その内容を確認するための原典として優先します。ただし、原典であることと、書かれている内容がすべて客観的事実であることは別です。企業自身による評価、広告表現、将来の計画などは、発信者の主張として扱ってください。

元の情報源までたどる方法は一次情報とは?二次情報との違いと情報源の確認方法で扱っています。

検索結果だけで判断しない

検索結果の上位に表示されていること自体は、その情報が一次情報であることや、最新・正確であることを保証するものではありません。

検索結果の一覧やスニペットだけを見て判断せず、元のページを開いて次の点を確認します。

  • 誰が発信している情報か
  • いつ公開・更新された情報か
  • どの範囲・条件を対象とした情報か

スニペットは検索語に応じてページの一部が抜き出されたものです。前後の文脈が抜け落ちていることがあり、条件付きの記述が無条件のように見えることもあります。

同じ名称を取り違えない

企業名、商品名、制度名には、よく似たものや同名のものがあります。別会社の情報を混ぜてしまうと、調査結果全体が使えなくなります。

調べる前に正式名称を確認し、複数の情報源で同じ対象を指しているかを見てください。企業であれば所在地や法人番号、サービスであれば運営会社名を突き合わせると区別できます。

内容が食い違うとき

複数の情報源で内容が違う場合、どちらかが間違っているとは限りません。時点が違う、対象範囲が違う、集計方法が違う、といった理由で数字がずれることがあります。

発信元と時点を確認したうえで、それでも説明がつかない場合は、両方を記録して「情報源によって記載が異なる」と整理します。どちらか一方を選んで書くと、その判断の根拠が残りません。

情報が見つからないときの考え方

探し方を変えると見つかることがあります。

検索語を変える

言い換え、略称、英語表記、関連する別の語で試します。業界で使われる呼び方が一般的な言い方と違うこともあります。

正式名称を確認する

企業名やサービス名が正確でないと、目的のページにたどり着きません。まず正式名称を確認してから検索し直します。

サイト内検索を使う

公式サイトに情報があっても、検索エンジンの結果に出てこないことがあります。サイト内の検索機能やサイトマップから探します。

PDFや公的資料を探す

料金表、規約、統計データ、議事録などはPDFで公開されていることがあります。HTMLページだけを探していると見落とします。

別の情報源を確認する

企業公式サイトになくても、プレスリリース、業界団体の資料、報道などで触れられていることがあります。

検索語の工夫や情報源の切り替え方は検索しても情報が見つからないときの探し方で詳しく扱っています。

それでも確認できないことはあります。企業が公開していない情報、そもそも公開義務のない情報、Web上には存在しない情報。いずれも珍しくありません。

このとき、推測で埋めないでください。似た事例から「おそらくこうだろう」と書くと、その一行が調査結果全体の信頼性を落とします。

「公開情報では確認できなかった」と整理することも、調査結果の一部です。何が分かって何が分からなかったかがはっきりしていれば、次に何をすべきか判断できます。

Webリサーチの結果を使える形に整理する

URLを並べたリストだけでは、後から見返しても使えません。調査項目を揃えて表などに整理します。

調査対象項目A項目B情報源URL確認日備考・未確認事項
対象A—————
対象B—————

残しておきたいのは次の4つです。

情報源URL

後から根拠を聞かれたときに示せます。情報を更新する際も同じページを再確認するだけで済みます。共有する相手が各自で原典を確認することもできます。

確認日

料金も制度も内容は変わります。「いつ時点の情報か」が分かっていれば、その情報を今どう扱うべきか判断できます。確認日を残しておくと、その情報がいつ確認されたものかを後から判断できます。

補足

「この料金は法人契約のみ」「この統計は2024年度の数値」など、条件や前提を書き添えます。表の数字だけを見た人が誤解しないようにするためです。

未確認事項

調べたが確認できなかった項目を空欄のままにせず、「公開情報では確認できず」と明示します。調べ忘れなのか、調べたが見つからなかったのかを区別できます。

Webリサーチに時間をかけられない場合

ここまでの流れを調査対象ごとに行うため、対象や項目が増えるほど、情報を探し、確認し、照合し、整理するための作業も増えていきます。

optimal plan SEARCHでは、Web上の公開情報を対象とした検索・リサーチを代行しています。調査結果は情報源を明示した形でお渡しします。確認できなかった情報は「確認できなかった」とお伝えします。

「何を調べればいいか整理したい」という段階でもご相談いただけます。

ご相談だけでは料金はかかりません。
内容と料金をご確認いただいてから調査を開始します。