生成AIに質問すると、整理された文章で答えが返ってきます。出典リンクが付いていることもあります。読みやすく、それらしく見えます。

ただ、そのまま資料に転記してよいかというと、別の話です。

この記事では、AIを使って情報を集めたあと、その内容をどう確認するかを説明します。AIを使うか使わないかの話ではなく、AIから得た情報を判断に使うまでの工程についてです。

AIリサーチとは

「AIリサーチ」という言葉に、広く共有された厳密な定義があるわけではありません。この記事では便宜上、生成AIやAI検索などを使って、情報の探索・要約・比較・整理を行うこととして扱います。

Webを検索して回答を組み立てるもの、与えられた資料を読んで整理するもの、複数のステップで調査を進めるものなど、仕組みや機能はサービスによって異なります。この記事では機能の分類そのものには踏み込みません。

AIリサーチでできること

調査の場面でAIが役立つのは、次のような作業です。

  • 調査テーマの整理
  • 検索語や調査項目の候補出し
  • 関連する企業・制度・用語などの候補発見
  • 複数の情報の要約
  • 比較項目の整理
  • 長い資料の要点整理
  • 追加で確認すべき点の洗い出し

特に、何から調べればよいか分からない段階では有効です。調査テーマを伝えて確認すべき項目を挙げてもらう、専門用語の意味を整理する、関連しそうな組織や制度を洗い出す。こうした用途では、調査の初期段階で全体像を整理するために活用できます。

ただし、できることは利用するサービスや機能、入力する情報によって異なります。「AIを使えば短時間で正確に調査できる」という一般化はできません。

Google の生成AIに関する案内でも、生成AIは誤ることがあり、事実として提示された情報は他のリソースで確認するよう案内されています。

AIの回答と「確認できた事実」は分ける

AIが文章として答えた内容は、その時点では「AIから得た回答」です。業務で使う事実として扱うには、確認が必要です。

確認するのは次の3点です。

  • 根拠となる情報源があるか
  • その情報源に実際にその内容が書かれているか
  • 情報源の記述とAIの回答が一致しているか

AIの回答は自然な文章で書かれています。断定的な言い回しになっていることもあります。読みやすさと、内容が裏付けられていることは別です。

出典が表示されていても元ページを開く

AIが出典リンクを表示する場合があります。ただし、リンクが付いていること自体を確認完了としないでください。

確認すること見るポイント
リンク先が開くかリンク切れ、別ページへの転送がないか
誰が発信しているか企業、官公庁、報道機関、個人など
AIが述べた内容が実際に書かれているか該当する記述がページ内にあるか
数値や条件が一致しているか数字、単位、前提条件がAIの回答と同じか
情報の日付はいつか公開日、更新日、対象期間

特に3番目が重要です。リンク先を開いてみると、AIが述べた内容とは少し違うことが書かれている、あるいは該当する記述が見つからない、ということがあります。

「出典がある」と「その主張が裏付けられている」は別です。

情報源の確認については元の情報源を確認する方法でも扱っています。

AIが示した出典から元の情報源までたどる

AIが示した出典が、それ自体で元の情報源とは限りません。

たどり方の例

AI回答

↓

ニュース記事(AIが示した出典)

↓

記事中の「◯◯社の発表によると」

↓

企業の公式発表

統計データの場合も同じです。解説記事が出典として示されていても、その記事が引用している元の統計まで確認すると、対象範囲や集計方法が分かります。

ただし、何でも必ず公式ページに戻れるわけではありません。報道機関が独自に取材して得た情報は、その記事自体が情報源です。同じ内容が企業の公式サイトに掲載されているとは限りません。

公式発表が見つからないことを理由に、報道内容を誤りと判断しないでください。記録するときに「報道による」と情報源を明記します。

AIが複数の情報をまとめたときは出典ごとに確認する

AIが複数の情報をもとに回答をまとめている場合、一つの文章に複数の事実が含まれることがあります。このとき、文章全体に一つの出典が対応しているとは限りません。

説明用の例(固有名詞・数値は架空のものです)

「A社は◯◯を提供しており、料金は月額△△円で、2026年に□□を開始した」

この一文には、3つの事実が含まれています。

サービス内容:A社は◯◯を提供している

価格:料金は月額△△円

時期:2026年に□□を開始した

それぞれ別のページから取られている可能性があります。1つの出典リンクが付いていても、3つすべてがそのページで確認できるとは限りません。

重要な事実や数字が複数含まれている場合、要素ごとに分解して、それぞれの根拠を確認してください。

日付を確認する

AIの回答が現在形で書かれていても、元になった情報が古いことがあります。

特に変わりやすいのは次の項目です。

  • 料金・価格
  • サービス内容・機能
  • 企業情報(所在地、代表者)
  • 役員・組織構成
  • 制度・規制
  • 市場データ
  • 製品の仕様

確認するのは、ページの公開日、更新日、データの対象期間、そして自分が確認した日です。

「AIが現在形で答えた」ことは、その情報が現在も有効であることを意味しません。元ページを開いて日付を確認してください。

数字は「何の数字か」まで確認する

AIが「市場規模は◯◯億円」と答えた場合、その数字だけでは使えません。

確認するのは次の点です。

  • 対象市場の定義(何を含んでいるか)
  • 対象地域
  • 対象期間
  • 実績値か予測値か
  • 売上か出荷額か、どの段階の数値か
  • 情報源
  • 推計方法(記載があれば)

同じ市場について複数の調査があり、それぞれ定義が違うために数字が異なることがあります。AIの回答に一つの数値だけが示されている場合でも、別の定義や調査方法による数値が存在する可能性があります。

市場データの扱いについては市場調査で使える情報源で詳しく扱っています。

AIの要約と元資料の表現を区別する

AIが長い資料を要約した場合、その文章がそのまま元資料に書かれているとは限りません。

要約は、内容を圧縮して読みやすくしたものです。元の表現とは異なります。条件や但し書きが省かれていることもあります。

報告書や提案書で引用符を使う場合は、実際の原文と一致していることを確認してください。

AIが生成した要約文を、原資料からの直接引用として扱わないでください。引用として記載するなら、元資料の該当箇所を開いて文言を確認します。

AIの推論と情報源に書かれている事実を区別する

AIは、情報を整理する過程で解釈を加えることがあります。

説明用の例(架空の内容です)

元情報:A社が◯◯サービスを開始した

AIの整理:A社は◯◯市場への進出を強化している

後者は、元情報にそのまま書かれているとは限りません。サービス開始という事実から導かれた解釈である可能性があります。企業の意図や戦略は、発表内容からは確認できません。

記録するときは、次の3つを混同しないでください。

  • 元資料で確認した事実
  • AIによる整理・要約
  • 自分自身の分析・解釈

報告書で「A社は市場への進出を強化している」と書くなら、それが誰の判断なのかが分かる形にします。元資料に書かれていた事実なのか、集めた情報からの自分の分析なのかで、読む側の受け取り方は変わります。

AIで情報が見つからないときは通常のWeb検索も使う

AIで回答が得られない、出典が示されない、必要な資料が出てこないことがあります。

その場合は自分で探します。

  • 正式名称を確認してから検索する
  • 別の検索語を試す
  • site: で対象サイトを限定する
  • PDFや資料ファイルを探す
  • 公式サイト内を直接探す
  • 官公庁や業界団体の資料を探す
  • 記事から元資料をたどる

「AIの回答に出てこない」ことは、「Web上に存在しない」ことを意味しません。

探し方については検索しても情報が見つからないときの探し方で整理しています。

通常のWeb検索で見つけた情報も確認は必要

ここまでAIから得た情報の確認について書きましたが、確認工程が必要なのはAIに限りません。

Web検索で見つけた記事も、同じように確認します。

  • 誰が発信しているか
  • 何を根拠にしているか
  • いつの情報か
  • どの範囲についての情報か

まとめ記事に書かれた料金が古いこと、比較サイトの情報が更新されていないこと、記事の数値に出典がないこと。いずれもAIとは関係なく起こります。

情報源を確認するという考え方は、Webリサーチ全般に共通するものです。基本的な進め方はWebリサーチの基本的な進め方で扱っています。

AIリサーチの確認手順

ここまでの内容を、実際の流れに沿ってまとめます。

1

調査目的・確認項目を決める

何を判断するための調査か、どの項目を確認するかを先に決めます

2

AIで情報・候補を探す

調査テーマの整理、検索語の候補出し、関連する対象の洗い出しに使います

3

回答内の重要な事実・数字を分ける

一つの文に複数の事実が含まれていることがあります。要素ごとに分解します

4

出典を確認する

それぞれの事実について、どの情報源が根拠になっているかを見ます

5

出典ページを開く

リンクがあることで確認完了とせず、実際にページを開きます

6

主張を裏付ける記載を確認する

AIが述べた内容が、そのページに実際に書かれているかを見ます

7

必要なら元資料までたどる

記事が引用している調査や発表が元にある場合、そこまで確認します

8

日付・対象範囲・条件を確認する

いつの情報か、どの範囲を対象とした情報かを確認します

9

確認できなかった情報を分ける

裏付けが取れなかった項目は、確認済みの情報と区別します

10

出典URL・確認日とともに整理する

後から検証できる形で記録します

すべての情報についてこの手順を踏む必要はありません。判断に使う情報、報告書に載せる数値、社内で共有する事実。重要度に応じて、どこまで確認するかを決めてください。

参考程度に把握したいだけの情報と、意思決定の根拠にする情報では、必要な確認の深さが違います。

AIリサーチに時間をかけられない場合

AIを使ったリサーチでも、回答を得た後に確認する工程があります。出典を開き、記述を照合し、元資料までたどり、日付と条件を確認し、確認できたものとできなかったものを分ける。確認する項目が増えるほど、この作業も増えていきます。

optimal plan SEARCHでは、Web上の公開情報を対象とした検索・リサーチを代行しています。調査結果は情報源を明示した形でお渡しします。確認できなかった情報は「確認できなかった」とお伝えします。

「AIで調べたが、出典まで確認する時間がない」という状態からのご相談でも構いません。

ご相談だけでは料金はかかりません。
内容と料金をご確認いただいてから調査を開始します。