ある会社について調べようとして企業名で検索すると、公式サイト、求人ページ、ニュース記事、SNS、企業データベースなど、さまざまなページが並びます。上から順に開いていくと、時間の割に必要な情報が集まりません。
重要なのはページを大量に見ることではなく、「何を確認したいか」を決めて、それに合った情報源を見ることです。
この記事では、Web上の公開情報から企業について調べる方法を、確認したい情報ごとに整理して説明します。
企業情報を調べる前に「何を知りたいか」を決める
企業調査といっても、目的によって必要な情報は変わります。
- 所在地や設立年などの基本情報を確認したい
- どんな事業をしている会社か知りたい
- 提供している商品やサービスを把握したい
- 代表者を確認したい
- 公表されている業績を見たい
- 最近どんな発表をしているか知りたい
- どんな職種を募集しているか見たい
- 関連会社やグループ構成を確認したい
これを最初に決めておくと、検索結果を無目的に巡回する状態を避けられます。「この会社について調べる」ではなく「この会社の事業内容と最近の発表を確認する」まで絞ってください。
企業についてWebで確認できる主な情報
確認したい内容ごとに、主な情報源を整理します。
| 調査項目 | 確認できる内容 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 所在地、設立、代表者、資本金など | 公式サイトの会社概要、公的な法人情報 |
| 事業内容 | 主な事業、事業領域、提供している分野 | 公式サイト、IR資料(開示している場合) |
| 商品・サービス | 提供内容、料金、対象顧客 | 公式のサービスページ、料金ページ |
| 法人としての情報 | 正式な商号、本店所在地、法人番号 | 国税庁 法人番号公表サイト |
| 業績・財務 | 公開されている売上、事業別の構成など | IR資料、有価証券報告書(開示義務がある場合) |
| ニュース・発表 | 新商品、提携、事業展開の発表 | 公式ニュース、公式プレスリリース |
| 採用 | 募集職種、勤務地、採用ページでの事業説明 | 公式採用ページ、求人媒体 |
| 第三者からの情報 | 報道内容、業界内での取り上げられ方 | 報道機関、専門メディア |
ただし、すべての企業についてこれらが揃うわけではありません。企業によって公開している情報の範囲は大きく異なります。上場企業などでは、IRページや法令等に基づく開示資料から確認できる情報が多い一方、非上場企業や小規模な企業では、Web上で確認できる情報が限られることがあります。
まず企業の公式サイトを確認する
調査は公式サイトから始めます。企業が現在どのように自社を説明しているかが分かります。
| 確認先 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 会社概要 | 正式名称、所在地、設立、代表者、資本金、沿革 |
| 事業内容 | 何を提供している会社か、どの領域で事業を行っているか |
| 商品・サービスページ | 個別の商品やサービスの内容、対象顧客、料金 |
| ニュース・お知らせ | 企業自身が発表している最近の動き |
| IR情報 | 開示している場合の業績、事業構成、経営方針 |
| 採用情報 | 募集職種、勤務地、採用ページでの事業・組織の説明 |
| お問い合わせ | 拠点の所在地、連絡先、対応窓口 |
公式サイトで確認できるのは「企業自身が公表している内容」です。これと「第三者が確認・評価した内容」は区別して記録してください。
「業界トップクラス」「高い評価をいただいています」といった表現は、企業自身の説明です。第三者による客観的評価として扱わないでください。記録するときは「公式サイトでの自社説明」と分かる形にしておくと、後から見た人が誤解しません。
法人名・所在地などを公的情報でも確認する
企業名だけでは、同名や類似名の会社を取り違えることがあります。正式な法人としての情報は、公的な情報源で確認できます。
国税庁 法人番号公表サイト
国税庁が運営しているサイトで、法人番号の指定を受けた法人等の「基本3情報」を検索できます。基本3情報とは、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号の3つです。無料で利用できます。
商号変更や所在地変更があった場合、変更履歴も確認できます。社名が変わった企業について、同一法人かどうかを確認するのに役立ちます。
注意したいのは、法人番号公表サイトと登記情報は別のものという点です。
法人番号公表サイトで確認できるのは上記の基本3情報です。代表者名は含まれていません。
登記事項の詳細を確認したい場合は、登記情報提供サービス(有料)や登記事項証明書の取得など、別の手段が必要になります。両者を同じものとして扱わないでください。
代表者名については、公式サイトの会社概要に記載されていることが多いので、まずはそちらを確認します。
上場企業などはIR・開示資料を確認する
対象企業がIR情報を公開している場合、公式サイトの他のページより詳しい情報が得られます。
| 資料 | 確認できる内容の例 |
|---|---|
| 有価証券報告書 | 事業の状況、業績、事業上のリスク、従業員に関する記載、関係会社など |
| 決算短信 | 決算期ごとの業績概要 |
| 決算説明資料 | 事業セグメントごとの状況、経営方針の説明 |
| 統合報告書 | 作成している企業では、事業戦略や非財務情報の説明 |
| IRニュース | 適時開示された事項 |
資料によって記載されている内容は異なります。また、これらの資料はすべての企業が作成しているわけではありません。有価証券報告書は、金融商品取引法上の提出義務がある企業等が提出する資料です。すべての企業について確認できる資料ではありません。
調べる企業にIR情報がない場合、それは「業績を公開していない」というだけで、企業の状態を示すものではありません。
最近の動きは公式発表と報道を分けて確認する
企業の最近の動きを調べるとき、公式発表と報道は分けて記録します。
| 情報源 | 分かること |
|---|---|
| 公式ニュース | 企業自身が何を発表したか |
| 公式プレスリリース | 発表の正式な内容と日付 |
| 官公庁等の発表 | 該当する場合、許認可や公的な決定事項 |
| 報道機関 | 第三者がどう報じたか、取材に基づく内容 |
| 専門メディア | 業界内での位置づけ、解説 |
報道記事には、企業が公式に発表していない内容が含まれることがあります。取材で得られた情報、関係者の話、記者の分析などです。これらを企業の公式見解として記録しないでください。
「報道されている」と「企業が公表している」は別です。記録するときに、どちらの情報源によるものかを残しておいてください。
採用情報から確認できること
採用ページや求人情報からは、次のような内容を確認できます。
- 現在募集している職種
- 勤務地
- 仕事内容として書かれている業務
- 採用ページで企業が説明している事業や組織
採用ページには、会社概要やサービスページにない事業の説明が書かれていることがあります。「どういう仕事なのか」を伝える必要があるため、事業の中身が具体的に書かれることがあるためです。
ただし、求人情報から企業の内部事情を断定しないでください。「この職種を募集している=この部署を強化している」「求人が多い=人員が不足している」といった推測は、公開情報からは確認できません。
確認できたのは「この職種の求人がこの時点で公開されている」という事実です。求人が公開されている理由までは、求人情報だけでは判断できません。
同名企業・似た企業を取り違えない
調査でよく起きるのが、別の会社の情報を混ぜてしまうことです。
一般的な単語を使った社名、略称、グループ内の類似社名などは、検索結果に別企業のページが混ざります。地方に同名の企業があることもあります。
対象企業と一致しているかを、次のような情報で照合してください。
- 正式な商号(「株式会社」が前か後か、表記のゆれも含めて)
- 本店所在地
- 法人番号
- 公式サイトのドメイン
- 代表者名
- 事業内容
特にニュース記事や求人情報を見るときは注意が必要です。記事中で社名が略称で書かれていると、別企業と区別できないことがあります。記事内に記載された所在地や事業内容を、公式サイトの情報と突き合わせてください。
「検索結果に出てきたから対象企業の情報」ではありません。照合できていない情報は、記録するときに「未照合」と分かるようにしておいてください。
古い企業情報を現在の情報と混ぜない
企業情報は変わります。
- 所在地
- 代表者
- サービス内容・料金
- 組織構成
- 商号(社名変更)
- グループ構成(統合、分社、子会社化)
数年前の記事に書かれた所在地や事業内容が、現在も同じとは限りません。会社が移転していることも、事業を撤退していることも、社名が変わっていることもあります。
確認するのは次の4点です。
- ページの公開日
- ページの更新日
- 資料の場合、対象期間(どの年度のものか)
- 自分が確認した日
IR資料を見るときは、特に対象期間を確認してください。「最新の決算資料」であっても、それは前期の実績です。現在の状況とは時点が違います。
公開されていない企業情報の扱い
Web上で確認できない情報は、実際にあります。特に非上場企業では、売上、従業員数、顧客数などが公開されていないことが一般的です。
このとき、記録上は次を区別してください。
- 非公開:企業が公開していないことが確認できる場合(「業績は非公開」と明記されているなど)
- 記載なし:該当ページはあるが、その項目について言及がない場合
- 公開情報では確認できず:探したが見つからなかった場合
売上、顧客数、シェア、従業員数などを、企業規模や業界の状況から推測して書かないでください。根拠のない数字は、後から事実として使われます。
Web上の公開情報を調べるときの基本的な考え方はWebリサーチの基本的な進め方と情報源でまとめています。
企業情報を調査結果として整理する
URLを集めるだけでは、後から使えません。何をどこで確認したかを項目ごとに整理します。
| 項目 | 確認内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | — | — | — |
| 所在地 | — | — | — |
| 代表者 | — | — | — |
| 事業内容 | — | — | — |
| 商品・サービス | — | — | — |
| 公開されている業績情報 | — | — | — |
| 最近の公式発表 | — | — | — |
| 未確認事項 | — | — | — |
「未確認事項」の行を作っておくと、調べ忘れなのか、調べたが見つからなかったのかを区別できます。後で追加調査するときにも、どこから再開すればよいか分かります。
複数の企業を同じ項目で比較する場合は、競合調査の進め方で比較表への整理方法を扱っています。
企業情報の調査に時間をかけられない場合
調べる項目が増えるほど、公式サイト、公的情報、開示資料、報道など、確認する情報源も増えていきます。複数社を同じ項目で調べる場合は、それぞれについて確認し、同じ形式に整理する作業が必要です。この時間が業務の中で取れないこともあります。
optimal plan SEARCHでは、Web上の公開情報を対象とした検索・リサーチを代行しています。調査結果は情報源を明示した形でお渡しします。確認できなかった情報は「確認できなかった」とお伝えします。
「どの項目を調べればよいか整理したい」という段階でもご相談いただけます。